ネコ博士ふたたび(1)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 

 鬼の旦那は自分がどうして研究所に足を運ぶのかよくわからなかった。 習慣なのか、愛着なのか。

 よくわからないままロッカーの扉を開けて、自分の白衣に袖を通していた。

「おはようございますネコ博士」

「おはようにゃ」

 ネコ博士は大きなマグカップでいつものようにブラックコーヒーを飲んでいた。

「助手よ、ワシはまた画期的な発明品を開発したにゃ」

「おめでとうございます博士」

 鬼の旦那はネコ博士から助手と呼ばれることに喜びを感じていた。

 それほどまでに、博士は刺激的な天才なのだ。 

ネコ博士再び(2)

約200文字づつ進むストーリー

 

「作ったのはこれにゃ」

 首からストラップにぶら下がったカメラをネコ博士は指さした。

 鬼の旦那にはクラシカルな外観の普通のカメラに見えた。

「カメラですか」

「そうにゃ。でもこれは普通のカメラではない。論より証拠にゃ」

 ネコ博士はカメラをのぞき込み、鬼の旦那にむけてシャッターを切った。

 フラッシュで一瞬目がくらんだ鬼の旦那は我が目を疑う。

「やあ、こんにちは」

 ネコ博士の横にもう一人の自分がいた。

 ネコ博士再び(3)(約200文字づつ進むストーリー)

 

「これはコピーにゃ。実体はない」

 ネコ博士がもう一人の鬼の旦那がいるあたりを手でまさぐる。

 その手はコピーの体をつきねける。 鬼の旦那のコピーはびっくりする演技をしている。

「やめてください。くすぐったいです」

 そう言うと、鬼の旦那のコピーは壁をすり抜けて外に飛び出していった。

「やばいにゃ」

 慌てるネコ博士に鬼の旦那も慌てて聞いた。

「どうやばいです?」

「コピーは本音しか言わない」

 鬼の旦那は背筋が寒くなった。

 

ネコ博士再び(4)(約200文字づつ進むストーリー)

 

「消去できないのですか」

 鬼の旦那は博士に詰め寄る。

「プロテクトがかかっているにゃ。コピー本人の承認がなければ消せない仕様にゃ」

 ネコ博士の口元には笑みが浮かんでいる。

「わざとでしょう」

「なにがにゃ?」

「そんな面倒な仕様にしているのはわざとなんでしょう」

「そんな訳ないにゃ。それよりも早く追いかけないと大変なことになってるかもよ」

「どこにいるかはわかりますか」

「それは分かるにゃ」

 ネコ博士はカメラの背面にある画面を鬼の旦那にみせる。

 地図上で赤い丸が動いていた。

「コピーの現在地にゃ」

ネコ博士ふたたび(5)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 鬼の旦那はネコ博士と共に研究所を飛び出した。

 周囲を見渡すが、どこにも姿は見えない。

「博士、私のコピーはどこにいますか」

「助手よ、コピーは時速40kmで移動しておるぞ」

「どういうことですか?」

「コピーはおそらくタクシーを捕まえたかもしれんぞ」

「タクシー!」

 鬼の旦那は空を見上げてあきれるしか無かった。

 

「いい天気ですね」

コピーはタクシー運転手に話しかける。

「そうですね。お客さん、今日はお仕事はお休みですか?」

「そんなところです」

「いいですね。海に行かれるなんて」

「ははは……」

ネコ博士再び(6)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 鬼の旦那とネコ博士は研究所の裏手にある駐車場に走った。

 鬼の旦那が運転席に滑り込む。

 ネコ博士は助手席に乗り込んだ。

「ナビお願いします」

「分かったにゃ」

 ネコ博士が手に持つ端末にはコピーの現在位置が映っている。

 どうやら高速に乗ったらしい。

「コピーはいったいどこに行くつもりでしょうか」

「わからにゃいね」

 ネコ博士は終始笑みを浮かべている。

 

「お客さんひとつ聞いてもいいですか」

 タクシードライバーの中島がひかえめに聞いた。

「いいですよ」

 鬼の旦那のコピーが答える。

「タクシーで海に行くのは何か理由があるのですか?」

ネコ博士再び(7)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

「どうして海に行くかだって?それはな、運転手さんと一緒に心中するため」

「……(絶句)」 

 タクシードライバー中島は言葉を失った。

 改めてバックミラーで乗客を確認する。

 マスクとサングラスで表情は分かりづらい。

 酒やけなのか、顔色が赤黒いような気もした。

「なんてね。冗談ですよ。単純にお金に困っていない。それがタクシーで海に行く理由になりませんか」

「脅かさないでくださいよ」

 言葉とはうらはらに中島は乗客から目を離しがたくなった。 

ネコ博士ふたたび(8)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

「博士、あのコピーはどういった原理ですか?」

 鬼の旦那はハンドルを握り、まっすぐ前を見たままネコ博士に聞いた。

「ちいさなドローンに自立型頭脳と、立体映像を組み合わせたものにゃ」「ドローンって、さっき壁をすり抜けていきましたよ」

「隣の窓が開いてにゃ。壁をすり抜けたような映像を表示しながらドローンは窓から外に出たにゃ」

「手が込んだ頭脳のコピーですね」 博士の手にしている端末でコピーの現在位置を確認した鬼の旦那が口を開く。

「湾岸方向にむかっていますね。海にでも行くのでしょうか?」

「わからないにゃー」

 ネコ博士は首をかしげた。

ネコ博士ふたたび(9)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

「運転手さんにもひとつ聞いていいですか」

 タクシードライバー中島は何を聞かれるのだろうと身構える。

「もしもの話ですが、もう一人の自分がいたとしたらどう思いますか」

 鬼の旦那のコピーは、サングラスを通して中島を観察している。

「自分がもう一人ですか……」

 中島は考えた。

 仕事は二人で分担した方が楽できるな。

 でも給料は一人分プラスアルファしかもらえないな。

 もう一人の自分の食費は誰がだすのか?

 遊ぶお金もいるんだよな。

 もう一人の自分も当然パチンコを打つだろ うな。

 経費が二倍かかるな。

「自分がもう一人いても面倒なだけかもしれません」

 中島は何気なく返答する。

「そうですよね」

 鬼の旦那のコピーは奥歯をかみしめながら答えた。

ネコ博士ふたたび(10)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 鬼の旦那のコピーは、トンネルの暗闇を後方に逃げ去るオレンジ色のライトをうつろな目で追う。

「ではもうひとつ聞いてもいいですか」

 タクシードライバー中島は声のトーンから、この乗客の問いには何か深い意味があるのかもしれないと思った。

 中島が以前出会った乗客を思い出したからだ。

 深夜、人気のない場所に行こうとした女性がいた。

 自ら命を絶とうとする行動だった。 中島はその女性と夜明けまで車内で話を聞いた経験があった。

「いいですよ。まだしばらくかかりますから、なんでも聞いてください」

「もし、もう一人の自分が、あなただとしたらどうしますか?」

「私がコピーということですか?」

 中島は確認する。

「そうです。オリジナルが存在しているとしたら」

ネコ博士ふたたび(11)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

「オリジナルから見たらコピーは自分の為に消費するものぐらいにしか考えないだろうねえ」

 中島はほっぺたをなでた。

 鬼の旦那のコピーは中島を凝視しながら中島の次の言葉を待っていた。「最近不思議なことばかりおきているんだ。だから大抵のことには驚かない」

 中島は突拍子もないこととおもいながらその不思議な客に問うた。

「あんた、コピーなのかい?」

 鬼の旦那のコピーはこくりとうなずいた。

ネコ博士ふたたび(12)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

「ここで高速をおります。浜辺までもうすぐです」

 中島はなんと言えば良いのかわからないでいた。

 後部座席に座る人物は自分がコピーなのだという妄想にとりつかれているに違いない。

 そして、海に行ってどうするつもりなのか。

 車は海岸沿いの往復二車線の道にさしかかる。

 中島の右手側に海が広がっている。 中島は窓を少し開けた。

 潮風と共に海の香りが車内に流れ込む。

「ところであなたは自分の事をコピーだと思い込んでいるようだが、私にそれを証明できますか?」

「できます」

 押し黙っていた乗客が口を開いた。

ネコ博士ふたたび(13)

 

 一方そのころ追いかける側である鬼の旦那とネコ博士。

「何か出来ることはないのですか」「メールを送る機能があるにゃ」

「いいじゃないですか。やってみましょう」

「なんて送るにゃ?」

「どうして逃げる?と送ってみましょう」

「わかったにゃ」

 ネコ博士はメールを送った。

 即座に着信音が鳴った。

 ネコ博士が読み上げる。

「私に追いついたら即座に消去するでしょう。だから逃げるのです」

「ネコ博士、なんだかややこしいことになってますよ。どうするんですか」

「どうしようかにゃー」

 ネコ博士は終始にやけていた。

ネコ博士ふたたび(14)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 タクシーは浜辺の見える駐車場に到着した。

「お客さんつきましたぜ。見せていただけますか」

 中島は運転席から後ろを振り返る。

 鬼の旦那のコピーはそっと手をさしのべた。

「私の手を触ってみてください」

「あっ…」

 中島は言葉を失った。

 何の感触もなく、中島の手は空を切った。

「ある人物の外観を模した立体映像を照射していまが、思考回路は私オリジナルのものです。これからは「イチ」と名乗ります」

 イチは帽子とマスクをとる。

 鬼が座っていた。

 

ネコ博士ふたたび(15)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 中島はイチの体をすり抜ける自分の手を見ながら困惑気味に聞いた。

「イチさんの話を理解できたのか自分でも分かりません。ですが、これからどうするつもりですか」

 中島はしげしげとイチを観察する。

 どうみてもそこに存在するように見える。

「私を開発した博士とオリジナルの鬼がすぐここに到着するでしょう」

「イチさんはおいかけられているのですね。でもなぜ」

「私のそばまで来ないと消去するためのプロテクトが解除されないからです。私は消去されたくない。彼らの手が届かない海上に逃げようかと考えています」

ネコ博士ふたたび(16)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 電子マネーで支払いを終えたイチは波打ち際にゆっくりと歩いていく。

 中島は自然とイチの後を追っていた。

 イチは自分の気持ちを決めるように水平線を見つめている。

 中島はイチの背後から声をかける。

「海上を飛ぶって、電源は無限に調達できるのですか?」

「無限ではありません。いずれ電池はなくなって、私は海の藻屑となります」

「それは消去されることと同じですね」

 イチは振り返って中島を見た。

「では私はどうすれば良いのですか」

 

ネコ博士ふたたび(17)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

「私はどうすればよいのですか」

 中島は何かいい方法がないのかと考えたが、思い当たることもない。

 そのとき、背後から複数の声が響いた。

「はやまるな!」

「そうニャ!」

 ネコ博士と鬼の旦那が走り込んできた。

 中島はイチとまったく同じ鬼が登場したことで、逆に状況が飲み込めた。

 この鬼がオリジナルなんだ。

 ネコ博士が端末を操作するのを見て、中島が口を開く。

「待て!まさか消去するのか」

「そうにゃ。この場所なら電波も届くニャ」

「俺はあのコピーと話をした。できることならあいつの存在を残したい」

 中島はネコ博士と鬼の旦那を交互に見た。

ネコ博士ふたたび(18)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 中島はひらめいた。

「思考回路のデータをどこかにコピーできないかな」

「どこににゃ。コピーはどこでもいいというわけではないにゃ。あの頭脳には自発的行動が必要不可欠にゃ」

「どういう意味だ」

 中島は胸ポケットから取り出したタバコを口にくわえる。

 海から吹く風に負けないようにライターの火を両手で覆う。

「自分で行動して、新しい情報を得る必要があるにゃ。そうでないと閉じた思考回路で暴走してしまうにゃ」

 中島の口からでた煙は後方に消えていく。

「なら、俺の車のコンピューターにコピーしたらどうなる」

「車にコピーするにゃ!」

 ネコ博士のにやけ笑いが始まった。

 

ネコ博士ふたたび(19)

(約200文字づつすすむストーリー)

 

 ネコ博士と中島がタクシーの運転席をのぞき込む。

 それを見て、鬼の旦那は海を見ているコピーに近づく。

「私に近寄らないでください」

 コピーは今にも海に飛び込む勢いだ。

 コピーの表情は鬼の旦那に対する怯えそのものだ。

 鬼の旦那が話しかける。

「消去しないから安心しろ。どうしたら良いか皆で考えている」

「私の感じている恐怖は、あなたなら分かるはずです」

 同じ顔が見つめ合っている。

「気持ちは分かるよ。だからまず博士と話してくれ」

 コピーが一歩、鬼の旦那に近づいた。

ネコ博士再び(20)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

「消されるよりはいいニャ」

 一同が集まった状態で、コピーは声のトーンを一段あげた。

「はい、十分です。見た目はただ表示しているだけ。思考プログラムさえあれば私は私たるのです」

「あの、彼は自分のことをイチと名のっていました。イチとよんであげてくさい」

 中島はイチをコピーと呼ぶことに見かねて口をはさんだ。

「そうかそれは悪かったニャ。ミスターイチ、それでは早速作業に取りかかる」

 ネコ博士が取り出したパソコンとカメラ型端末をつないだ。

 タクシーのダッシュボードに手を伸ばす。

ネコ博士ふたたび(21)(おしまい)

(約200文字づつ進むストーリー)

 

 イチはタクシーのメインコンピューターに無事インストールされた。

「イチさん。これからよろしく」

 中島は運転席に座り、つぶやいた。「ありがとう中島さん。あなたに出当てよかった」

 車内にイチの音声が静かに流れた。

「どうします。乗っていきますか」

 中島はネコ博士と鬼の旦那に声をかける。

「いや、考えることがあるから行ってくれニャ」

「そうですか、それでは、また」

 タクシーはネコ博士と鬼の旦那を残して走り去った。

 残された二人は海を見ていた。

 

 

 おしまい

 

感激のお葉書いただきました。 只々、感動しかありません。

 

「るるぶ&more」(毎日をもっとステキに。おでかけをもっと私らしく)にて今井町お散歩プランが紹介中です。

 

https://rurubu.jp/andmore

 

 ちなみに「今井町お散歩ビンゴ」を考えてみました。

 見つけたら消していきます。

 今井町の中心で「ビンゴ」と叫びたい!

 

 手作りガチャガチャ「おにガチャ」を作ってみました。

 

簡単には出させません!

 

カプセルを出すためには、よーく観察して、仕組みを理解して、揺さぶって、回転させて、カプセルが出て、スッキリするという遊び方でお願いいたします。

無料手作りガチャ「おにガチャ」のカプセルに「入れるものを毎日作っています。

 

本日のテーマは動くものシリーズ。

「デンプシーロール」をきめる鬼の旦那

 &

くちが「あーん」と伸びる猫博士

 

 

小学生の皆さん、いかがでしょうか?

 

 

「加齢臭」

 加齢+臭の組み合わせがよくありませんと思います。

 

 「臭」は「フレグランス」と言い換えましょう!

本日の「おにガチャ」カプセル

 

蚊取り線香ヘビ!

江戸からくり玩具「猫とネズミ」を作ってみました。

猫とネズミ。

捕まりそうで捕まらない。

江戸からくり玩具「ずぼんぼ」作ってみました。

 

壁際に追い込み、うちわであおぐとぴょんと跳ね上がります。

 

暴れトラです。

アクロバティック・オニ

気持ちつたわる。

 

おにのコーラ。

 近所の小学生と「おにガチャ」で依然、真剣勝負中です。

 

 毎日持ち帰ってどうしているのかなという疑問がありますが、小学生のなかには自分の机の前に並べてくれている子もいるそうです。

 子供を飽きさせるわけにはいきません!

 

 本日の折り紙

「無限テトラポッド」

 

 ミカンの皮をむくようにくるくるとテトラたちが無限に回転します。

きせかえ・オニ(冬)

 

帽子+ネックウォーマー+マスクの組み合わせは温かいもの最強です。

行動観察。

 

とある夕食。

マーボー春雨をつくった。

 

ミンチ肉とキャベツがマシマシ。

 

皿に盛られたマーボー春雨を、娘が執拗に混ぜていた。

 

「熱かった?」

 

私は聞いた。

 

「具と春雨を均一に混ぜています」

 

なるほど。

 

できるだけおいしくいただきたいらしい。

 

学校あるある(現役小学生の投稿)

 

「先生がカウントダウンしがち」

絵を描きました。

 

ひな壇が巨大。

お雛様には「SASUKE」攻略の体力が必要です。

小学生が絵を描きました。

子供の生態シリーズ

 

占いの本に熱中する時期がある。

昭和のおもいでシリーズ

 

「昆虫採集セット」

 目にはするけど子供心ながら、使いこなせる気がしないと感じさせるものがありましたね。

おみくじの新階級を考えてみる。

#リアル宝さがし #今井町 #おにみみコーラ 実験企画リアル宝さがし(無人)IN今井町! ルール1 中の宝は手持ちの別のモノと入れ替えてください ルール2 宝を交換した日付を記録用紙に書いてください。 ルール3 宝箱をもとの場所に戻してください。 中身が変わるのかをみんなで楽しむ遊びです

本日の鬼ガチャ。

 

あいかわらず毎日作っています。

鬼の旦那のとある最高の休日

 

一日三度の昼寝を楽しむ休日が最高。

可動・音楽家人形をつくりました。

「おにダコ」つくりました。
 紙ぜんまい式の回転するタコなのですが、紙ぜんまいが完成当日には切れて、即、分解手術です。

 タコの頭を縮める手術を施工。
 ゼンマイをチャージしたのち、床をバンバンたたくとジリジリと回転しだす仕様となりました。
 とほほ。

 #わらしべ長者 

 #物々交換 

 #今井町 

 #おにみみコーラ 

「わらしべ長者」物々交換企画を開催中です。

場所は今井町のちょうど真ん中あたり、鬼の看板のある駐車場。

どなたさまもご参加くださいね。

「鬼の手」つくりました。

 

手袋で「鬼の手」を操作することができます。

「紙ぜんまい式、にゃんこ」つくりました。

プルバックさせると5センチくらい走ります(笑い)

無料ガチャガチャ「おにガチャ」

 

あいもかわらずカプセルに入れるものをつくっています。

うちの「鬼・まねき・だるま」に目が入りましたよ。

おにみみコーラの春が来る!

春コーラができました!

気になりだすと夜も眠れないかもシリーズ

 

ヨーグルトの器に残るヨーグルトが気になりませんか?

こんなんできました~

「四十肩がなおったよ~」

己の生き方を振り返るのにちょうどいい現象

 

「携帯電話の着信」

家族以外の着信が2年以上無い。

私の生き方はこれでよかったのでしょうかね。

 

「想像してみるシリーズ」

本当にいたらいやだなと思う妖怪はこいつだ!

 

妖怪「天井なめ」

天井についている「しみ」をなめる妖怪。

人が寝静まったときに出てくる。

家でこいつと出会ったしまったら、これはショックですね。

最近の構想中

 

腹話術人形を自作出来ないかを考えています。

こんなに便利「えんぴつ」10の使い方

 

(1)箸として使える

(2)猫じゃらしになる。

鉛筆の使い方10選

 

(3)鉛筆の削りカスを眺めながら「鰹節」を想像する。

 ごはん3杯はいけるっしょー!

えんぴつ便利な使い方10選

 

えんぴつ回しで蚊を追い払うことができます。

先日「手作りおみくじ」をいただきましたので、「おみくじクエスト」を作ってみました。
運命を「おみくじ」で切り開け!
ぜひ!

娘が「飛鳥美人バンド」の絵をかきましたよ。

「絶対に落としたくないスマホケース」

 

「カゴ型スマホケース」

「マジックテープ型スマホケース」

鬼と目が合いました。

週末限定にて店頭に登場する「絵しりとり」です。

 

本日の皆様のしりとりはこんなかんじになりました。

 

途中、迷走ぎみですが、なんとかゴールにこぎつけましたね。

 

おにみみコーラ「冬味」新発売です!

 

・ローズヒップ、柿の葉茶でビタミンCの補給!

 

・フェンネルの甘い香りが胃腸のご機嫌をうかがいます。

 

寒い冬に風邪はイヤ!

寒い冬こそ美白!

 

おにみみコーラ「冬味」新発売です!

買い物あるある

 

恐怖、スーパーで奥様が友達にあう子供の心境。

これは「顔」かな?

 

いいえ、この絵は……

ヒヨコが休んでいましたよの絵でした。

 

 

トイレの「流すボタン」が見つからなくて、焦ることはありませんか?

少女まんがあるある

 

「三角関係になりがち」

「福マグネット」

つくってみました。

看板を描きました。

からくり人形「ダンシング・鬼夫婦」を作ってみました。

 

店頭ワゴンにそっと展示しておりますので、お気軽に「くるくる」とダンシングさせてみてください。

鬼の日常シリーズ

 

「湯たんぽ」カバーを洗濯してほっこりする。

少女漫画あるある

誕生日をかんがえるの巻

 

前夜祭

当日

後夜祭

 

一週間、祝ってくれないだろうか……

うちの階段

階段を上がるタイムを短縮する輩。

想像はつめいシリーズ

本日の想像「漢字」なりたちシリーズ

 

勉強の挫折を励ます姿から「机」の漢字ができました(うそ)

無料手作りガチャ「おにガチャ」に入れるものを毎日作っています。

 

本日のガチャ

「うんちくん」

本日のお料理、無かった発想。

 

 冷凍餃子3人前を3回で処理しようとすると待ったと言われる。

 

 1.5人前ずつフライパンに並べて、合計2回で処理できると提案される。

 

 その発想は無かったわ。

お料理あるある

 

よくばって、野菜をなべ山盛りに切ってしまう。

うどんあるある

 

めんが箸から逃げがち。

「鬼ごっこ」の新解釈。

 

鬼の衣装を着用して「ごっこ」遊びをするという解釈。

あったらいいな、「おにみみコーラ・クラブ」

 

 

おにみみコーラクラブ(ルールその1)

 

「おにみみコーラ」を飲み終わった後、「この一杯のために生きてるな、おれ(わたし)は」と必ず言う。

 

 

キャベツの千切りを考える。

 

まな板にのせるキャベツ1/2は分かります。

(安定のよい置き方をすればよいのですね)

 

キャベツ1/4になると正解がわかりません!

あったらいいな「おにみみコーラ・クラブ」

 

ルールその2

「炭酸割り」以外の飲み方も必ず試すべし。

とある夕食の準備中。

 

つまみ食いの呪いにかかる。

「運」のシステムについて考える。

消えない恐怖「奥様の過去ログ」

家に帰ってほっとする。
なんかないかな?
自分の気分に耳をかたむける。
「ホット・おにみみコーラはいかがですか?」
ななめ右上からもう一人の自分が提案する。
「そやね。ホット・おにみみコーラやね」
おにみみコーラ1:お湯10(レモンをひとしぼり)
 

「マイタウン奈良」にて「おにみみコーラ」が紹介されました。

 

「奈良 蔦屋書店」さん。

がめんのはしっこにちょこんと「おにみみコーラ」がうつっておりますよ。

「薬食さふらん堂」でゲットしたジャム。

 

朝食が楽しみです。

「薬食さふらん堂」でゲットしました。

ピクルス。

 

夕食が楽しみです。

 

 

 

大阪天満宮の狛犬には角ああり!

料理あるある(キュウリの輪切り編)

 

カットしたキュウリは前方に転がる。

(そしてまな板からから落ちる)

 

五人前以上の料理あるある。

 

 部品ごとに炒めて、最後にドッキングするしかない料理法。

お台所あるある「ラップを頼んだだけなのに」

(おやじギャグを聞かされるはめになる)

キッチン想像シリーズ

 

お野菜などの食材がすべて四角の世界だったら、まな板のおさまりが最高という想像。

もしも洗濯機の仕組みを誰も思いつかない世界の洗濯機はどんなの?

 

イワシの回遊を利用する家庭用システム。

消えたショートケーキ その1

 

 鬼の旦那は冷蔵庫の前で立ち尽くしていた。

 ショートケーキがない。

 ご丁寧に皿だけが残されていた。

 鬼の旦那が帰ろうかなと席を立つと慌ててやって来たネコ博士がくれたケーキ。

ネコ博士「一個しかなくてすまんな。ワシももらったんじゃが甘いものは苦手なんじゃ」

鬼の旦那「ありがとうございます」

 

 帰ってすぐに食べるつもりが、ほんの三十分間、目を離したすきに誰かが食べた。

 この家には鬼の奥さまと、鬼社長しかいない。

消えたショートケーキ その2

 

鬼の奥様「帰っていたのね。おかえりなさい」

鬼の旦那「ただいま。冷蔵庫のショートケーキ食べた?」

鬼の奥様「ショートケーキあるの?うれしい。どこどこ?」

鬼の旦那「いや一個しかなくて……」

鬼の奥様「じゃあ鬼社長には内緒で半分こにして食べようよ」

鬼の旦那「いやそうじゃなくて、食べられてもう無いんだ!」

鬼の奥様「じゃあ、犯人は鬼社長しかいないじゃない」

鬼の旦那と奥様は見つめ合ってうなずいた。

 

消えたショートケーキ その3

 

 鬼の旦那と奥様は鬼社長を探しました。

 鬼社長は庭で雑草をひいていました。

鬼の旦那「何か甘いものをたべなかったかい?」

鬼社長「甘いもの?個人的に常備しているお菓子のことかい」

鬼の旦那「ショートケーキなんだ」

鬼社長「ケーキ買ってきたのかい。よろこんでいただきますよ」

鬼の旦那「違うんだ。一個だけ冷蔵庫にあったんだけど知らないかな」

鬼社長「知らないよ」

鬼の旦那「奥さんも社長も知らなかったら、僕の持ってきたケーキは皿だけ残してどこにいったんだ!」

 鬼の旦那、社長、奥様はいまにもとっくみあいのケンカが始まるような雰囲気です。

消えたショートケーキ その4

 

 鬼の旦那は二人を疑いのまなざしで見ています。

 奥様と社長は心外とばかりに「知らない」「食べていない」をくりかえします。

 鬼の旦那はもともと一人で食べてしまおうと思っていた後ろめたさもあって、それほど二人に強く言うことにはためらいがありました。

 でも鬼の旦那はこう思っていました。

 食べたなら食べたでどうして正直に言わないのだろうというさみしさがありました。

鬼の旦那「よし本当に食べていないのなら見に行ってもいいんだな」

鬼社長「確かめれるものなら確かめたい」

鬼の奥様「私も絶対に食べていませんからね。潔白を証明したいわ」

鬼の旦那「後悔しませんね」

一同無言でうなずく。

鬼の旦那「実は何の変哲もない目の前のコタツは、ネコ博士が作った時間旅行コタツ。これで過去に何が起こったのか見に行くぞ」

消えたショートケーキ その5

 

 びょーん

 こたつは一瞬光を放ち、過去にジャンプしました。 

鬼の旦那「ついたようだ。過去の僕がもうすぐ帰ってくる。見つかるわけにはいかない。はやく物置に隠れよう!」

 三人はタイムスリップの感激に浸る間もなく、キッチンの見える物置に滑り込みました。

 扉のスリットから外の様子はばっちりうかがえます。

 がちゃり

 玄関の扉が空く気配がして、過去の鬼の旦那が帰ってきました。

 過去の旦那はまっすぐ冷蔵庫に向かうと皿の上にのせたショートケーキを辺りをうかがいながら格納しました。

 もみ手をすりすり、うれしそうに過去の旦那はキッチンから消えました。

鬼の奥様「独り占めするのがなんだかうれしそうに見えて腹立たしいわね」

鬼社長「そうだね」

鬼の旦那「まあまあ、ここからだよ。一体なにが起こるのかな……」 

消えたショートケーキ その6

 

 誰もいないキッチン。

 三人は扉の隙間に寄り添って固唾をのんで見守ります。

鬼の旦那「緊張しますね」

鬼社長「そうですね」

鬼の奥様「確かにケーキは冷蔵庫にあったわよ。一体だれが食べたのかしら」

 がちゃり

 玄関のドアが静かに開く気配がしました。

 現れたのはネコ博士です。

 手には出前の配達でつかうオカモチを持っています。

 ネコ博士はまず冷蔵庫からケーキを取り出してテーブルに置きました。 そして空の皿を冷蔵庫に戻します。 床に置いたオカモチから持参したケーキを取り出しました。

 テーブルの上には都合三個のケーキが乗っています。

 ネコ博士はほくそ笑みながら去って行きます。

 玄関ドアを後ろ手にしめながら手を一つならしました。

消えたショートケーキ その7

 

 ネコ博士が手を一つ打つと……

 鬼の旦那が奥からふらふらと現れました。

鬼社長「動きがおかしいですね」

鬼の奥様「見て!目をつむったまま歩いてるわ。そのままテーブルに座った」

鬼の旦那「ぜんぜん記憶に無いのが怖い」

 つづいて鬼の奥様と鬼社長もやって来て、それぞれテーブルに着席します。

 鬼の旦那の動きと同じ。

 まるで操られているようです。

鬼の奥様「私、覚えがない」

鬼社長「僕もです」

 物置の暗闇。

 三人は無言で、自分たちの姿を見ていました。

消えたショートケーキ その8

 

 過去の三人はテーブルに着席したと同時に猛烈ないきおいでケーキにむしゃぶりついている。

 物置の中の三人は驚きの声を漏らす。

鬼の旦那「みんな食べてるね」

鬼の奥様「そうね」

鬼社長「そうやね」 

ネコ博士「食べとるね」

物置の三人「わー!」

 最初から物置の奥にいたネコ博士が声をかけたからたまりません。

 物置の三人は扉をあけてキッチンに飛び出してしまいました。

 それでも何事も起こっていないように平然とケーキを食べ続ける過去の三人。

ネコ博士「どうじゃおもしろかろう」

 床に転がり出た三人の後を追ってネコ博士が愉快そうに声をかけます。

 過去の三人と、未来の三人+未来から来たネコ博士の会話が始まります。

消えたショートケーキ おしまい

 

未来から来た三人「ネコ博士いつからそこにいたんですか」

ネコ博士「最初からおったよ」

未来から来た三人「今さっきケーキを置いてましたよね」

ネコ博士「そうじゃ。あの後タイムマシンに乗って君らよりも過去にやって来た。たぶんここに来るじゃろうなと思って潜んでおったんじゃ」

未来から来た三人「あのケーキはただのケーキじゃありませんね」

ネコ博士「そうじゃ。わしの開発した「ケーキほいほい」ケーキが周囲の人間をおびき寄せる。なおかつ食べると前後数分の記憶を失う」

未来から来た三人「なんのために」

ネコ博士「面白いじゃろう」

未来から来た三人「もう分かりましたから帰ります。博士も早急に未来に帰ってください」

ネコ博士「もう少し観察してからかえるとしよう」

ネコ博士は再びタイムマシンに乗り込みました。

 未来から来た三人は、もっと過去からひそんでいるネコ博士がここには何人もいるのではないだろうかという想像にぞっとしました。

ネコ博士の発明(その1)

 

 とある一日はネコ博士の一言から始まった。

ネコ博士「旦那助手よ、ワシはまたまた発明品を作ったぞ」

鬼の旦那「それはまた結構なことですな」

 鬼の旦那はインスタントコーヒーをすすりながら適当に相づちを打ちます。

ネコ博士「なんじゃ興味ないか?今回の発明は誰にでもなれるトコロテン」

鬼の旦那「誰にでもなれるトコロテンですか。ぴんときませんな」

ネコ博士「まあ聞きなさい。なりたいものの情報をあらかじめインプットしたこのトコロテンをただ食べるだけでいいのじゃ」

(なんにでも化けることのできるトコロテン。いったい鬼の旦那はどうなってしまうのでしょうか)

ネコ博士の発明 その2

 

 何にでも変身できるトコロテンを鬼の旦那は食べることになりました。 鬼の旦那は助手なので、博士の命令には絶対服従です(基本的には……)

 トコロテンを黒蜜でいただきます。鬼の旦那「普通においしいトコロテンです」

ネコ博士「そうじゃろう」

鬼の旦那「でも口の中にぴりっと電気がはしるような気がします」

ネコ博士「情報が電気刺激となってインストールされとるんじゃ。まあ命の危険が無い程度に設定してあるから大丈夫じゃ」

鬼の旦那「いったい何に変身するんですか?」

ネコ博士「わしの目にはもう変身は始まっておるように見えるぞ」

鬼の旦那「そうですか?」

ネコ博士「見た目は一切変化しないのだが、周囲の人間にはそのものに見えるという不思議効果を発明した」

ネコ博士の発明 その3

 

ネコ博士「よし、準備完了じゃ。助手よ、コンビニに行って、コーヒーを買ってきてくれるか」

 鬼の旦那は去来する不安をぬぐいさることが出来ません。

鬼の旦那「博士には私は何に見えていますか?」

ネコ博士「ヒーロー」

 鬼の旦那は博士が何を言ったのか一瞬理解出来ませんでした。

鬼の旦那「ヒーローとは、悪者を退治するというようなものですか?」

ネコ博士「まさにそれじゃ。しかもリーダーの色、レッドタイツを身にまとっているぞ」

鬼の旦那「赤いタイツでコンビニにコーヒーを買いに行くのですか」

ネコ博士「そうじゃ。まあ安心して買いに行け」

ネコ博士の発明 その4

 

 鬼の旦那が目指すコンビニは歩いて十分程度のところにありました。

 博士の説明では周囲の人には鬼の旦那は全身赤いタイツをまとったヒーローに見えているというからたまりません。

 誰にも会わないといいなと思いましたが前方から女子高生二人組がやってきます。

(まずい、俺は完全に変態だ)

 逃げ出したい所でしたが、女子高生二人がが先に旦那に気付いてしまいました。

 二人の口はあんぐりと開き、開いた口に手が覆い被さります。

(終わった……俺の平和な暮らしはおしまいだ) 

 鬼の旦那は絶望を感じました。

ネコ博士の発明 その5

 

店員「がんばってください」

鬼の旦那「ありがとう」

 店員さんの激励を普通に受け止めだした鬼の旦那はにやけながら店外にでました。

 すると唐突に2m50cmほどの巨体がありました。

 セイウチ。

 水族館で見たことのあるセイウチがそこにいました。

 しかし、よく見るとそれは巨大な足首にセイウチの顔がついた化け物。

鬼の旦那「でかい足首だな」

 鬼の旦那はつぶやきました。

 店内の人々が鬼の旦那あらため、サンシャイン・レッドに助けを求めます。

「助けて」

「怪物です」

「なんとかしてください」

鬼の旦那が一番助けて欲しいと思っていました。

ネコ博士の発明 その6

 

 足首セイウチがおたけびを上げて鬼の旦那に向かってきた。

 鬼の旦那はとりあえずくるりと背を向けて逃げた。

周囲の人々「あっ逃げた」

鬼の旦那「逃げたわけではありません。とりあえずいったん距離をとります」

 鬼の旦那はとりつくろいながら全速力で逃げます。

(冗談じゃない。命がいくつあってもたりないよ)

 鬼の旦那はそう思いました。

 鬼の旦那の足がもつれつつありました。 

 もう限界です。 

 鬼の旦那は後ろを振り返りました。

 足首セイウチは鬼の旦那の直ぐ真後ろにいました。

 セイウチの牙が鬼の旦那に迫ります。

 鬼の旦那はたまらず横っ飛び。

 その瞬間鬼の旦那の目からまぶしい光線が発せられました。

鬼の旦那「サンライズ・サンシャイン!」

 鬼の旦那は自分でもびっくりしました。

(俺は何を言うてんねん)

 光線は足首セイウチにヒットし、煙と共に足首セイウチは消えてしまいました。

ネコ博士の発明 その7

 

 鬼の旦那はさっきまでいたはずの足首セイウチの辺りをただ呆然とながめていました。

 周囲から人々の拍手がわき上がりました。 

 我に返った鬼の旦那は曖昧な会釈をしながら立ち去ります。

(博士が発明したトコロテンはすごいな。食べるだけで目から光線が出るなんて。いったいどんな仕組みなのだろう帰ったら博士に聞こう)そう思いながら、鬼の旦那は研究所を目指します。

謎の声「まて!」

 謎の声が旦那を呼び止めます。

 鬼の旦那はおそるおそる振り返ります。

鬼の旦那「私を呼び止めるのは、どなたでしょう」

ネコ博士の発明 その8

 

 鬼の旦那の目の前には青色の全身タイツのヒーローが立っていた。

 周囲の人々がざわつきます。

「レッド・サンシャインが二人いる」

「どちらが本物のサンシャインだ」

「どういうことだ」

(いやいや、色が違うし、赤色じゃあないし。角が一本だし、どう見ても見分けはつくはずなのに……)

 鬼の旦那は腑に落ちません。

 

偽・レッド・サンシャイン「偽者め、こらしめてやる」

鬼の旦那「あなたが本物で結構ですよ。私は先を急ぎますんで失礼します」

偽・レッド・サンシャイン「偽者め、そうはいかない」

 叫びながら相手が殴りかかってきました。

 鬼の旦那はどうしたものかと考えていました。

ネコ博士の発明 その9

 

 鬼の旦那は相手の拳を体をねじって避けます。

 拳をつかみ、相手の背中を押した。 そのまま押さえ込めるはずが、偽・レッドの体は軟体動物のようにするりと逃げた。

 鬼の旦那との距離を取った偽・レッドの瞳が光る。

 鬼の旦那はその攻撃も真似ているのかと絶望した。

鬼の旦那「サンライズ・サンシャイン」

 鬼の旦那も叫ぶ。

 空中で偽レッドの青い光線と鬼の旦那の赤い光線がぶつかり火花を散らした。

ネコ博士の発明 その10

 

 光線の火花を散らしたまま、鬼の旦那と偽レッドはまっすぐ突き進む。 お互いの拳が届く距離で二人は足を止めた。

 右、左、フック、アッパー、コンビネーション。

 相手の攻撃を受けた瞬間、殴り返す。

 二人の動きは止まらない。

 

 その時、鬼の旦那の背後に忍び寄る影ひとつ。

 鬼の旦那はまったく気付かない。「兄のかたきだ!」

足首セイウチの弟、左足首アシカが背後から鬼の旦那の延髄を蹴った。

 鬼の旦那はどさりとその場に崩れ落ちた。

ネコ博士の発明 その11

 

 (ここはどこだ)

 鬼の旦那は目を覚ました。

 窓の無い殺風景な部屋で鬼の旦那は椅子に縛り付けられていた。

偽レッド「目を覚ましたようだな」

鬼の旦那「あなたは結局、どちら様なのでしょうか?これから私をどうするおつもりなのでしょうか」

偽レッド「君は質問が多いな」

鬼の旦那「私の処遇がお決まりで無いようなので申しますが、レッド・サンシャインというヒーローはまったくの架空のもので、存在しないのです。ネコ博士が作った空想のお話なのです」

偽レッド「知っておるにゃ」

鬼の旦那「にゃ?」

ネコ博士の発明 その12

 

 偽レッドがゆっくりとマスクをめくった。

鬼の旦那「あなたは……」

 マスクの下からあらわれた顔。

 それはネコ博士だった。

鬼の旦那「博士どういうことですか?」

ネコ博士「君は一歩も研究所から出ておらん」

鬼の旦那「そんな馬鹿な」

ネコ博士「一人わーきゃー言っている旦那は、一人舞台のようでおもしろかったぞ」

鬼の旦那「まだ分かりません。博士の「トコロテン」は一体どんなものだったのですか」

ネコ博士「わしの発明した「トコロテン」名前の由来は、欲するトコロ、天(テン)にのぼるがごとしじゃ。簡単に表現すると、スーパー・スーパー・VR」

ネコ博士の発明 おしまい

 

鬼の旦那「スーパーVRですか」

ネコ博士「そうじゃ。電気的な催眠術というのかな。今回の偽レッド・サンシャインのお話はワシが考えたんじゃ。どうじゃ、おもしろかっただろう?」

鬼の旦那「そうですね。楽しかったかもしれません」

ネコ博士「トコロテンを食べたあと、旦那は夢の世界に即トリップしたのじゃ。だから一歩も部屋から出ておらんし、ワシのコーヒーも届いておらん。だから今度こそコーヒーを買いに行ってくれ」

 鬼の旦那は椅子からよろよろと立ち上がりました。

鬼の旦那「それじゃあ行ってきます」

ネコ博士「ああ、気をつけてな」

 ネコ博士の口元に笑みが浮かんだような気がしましたが、鬼の旦那は外にでました。

 

「兄のかたきじゃー」

左足首アシカが元気よく襲ってきました。

鬼の旦那「はかせー!トコロテンの効果がまだ残っています」

 

おしまい

サンタさんはだんなさん。

博士と助手 その1

 

鬼博士「とうとう完成したぞ」

鬼助手「やりましたね博士」

鬼博士「噛めば、あらゆる言語が理解できるようになるガムだ」

鬼助手「噛むだけですか」

鬼博士「ああ、そうだ。しかも話すこともできる」

鬼助手「それはすばらしい」

鬼博士「では、助手よ、例によってためしてくれるか」

 鬼助手は身構える。

鬼助手「博士はためしましたか?」

鬼博士「ためしてはおらんが、性能は保証する」

 鬼博士はそう言いながら板状のガムを助手に手渡した。

 鬼助手はいやいやながら自らの手でガムを口に運んだ。

 

博士と助手 その2

 

 鬼の助手(鬼の旦那)はガムを噛んだ。

 これは何味だろう。

 ぎょうざ?

 どうして博士はそんな味にしたのかなと旦那は思った。

 博士の指示で、家に一度帰るように言われた。

鬼の旦那「ただいま」

鬼の奥様「おかえり(きょうはずいぶん早いわね)」

鬼の旦那「うんそうなんだ、はやいんだ」

鬼の奥様「わたし何も言ってないわよ(こわ)」

鬼の旦那「こわくないよ」

鬼の奥様「こわ!(いったいどうしたのかしら。あら、だまって上に上がっていくわ)」

 鬼の旦那は階段を上がって荷物をおきに行きました。

鬼の奥さま「(スリッパを二階にいつも置きっ放しなのよね。旦那が二階に上がるたびにスリッパを下ろさないから増えていくのよ)」

 鬼の奥さまは無言で見ていました。 荷物をなおした鬼の旦那が、スリッパを抱えて降りてきます。

鬼の奥様「あらできるじゃない」

博士と助手 その3

 

 鬼の旦那は博士の開発したガムのおかげで、奥さまの心の声はつつぬけです。

 鬼の旦那は極小インカムを経由して研究室の博士に逐一報告します。鬼の博士「よしよし、いいかんじだな」

鬼の旦那「はい」

 

鬼の旦那「本日はリモートになりました」 

鬼の奥さま「ああ、そうなの(という事は、今日は家にいるということなのね。うっとうしいかも。昼ご飯どうするのかしら)」

鬼の旦那「お昼ごはんは僕がつくるから(うそ、おれがつくるの)」

 ガムの効果により、自分の気持ちとは裏腹に、その場でとりあえず最善の言動をかってに言ってしまいます。

鬼の奥さま「まあ、うれしい(どうしたのかしら、料理なんかしたことないのにいったい何をつくるのかしら。たしかスパゲティならあったかしら)」

鬼の旦那「スパゲティでもつくろうか(ガムのせいで勝手に言っちゃう!スパゲティですか。俺、作れるのかしら。麺をとりあえずゆがくのは分かる。ソースはどうする?)」鬼の奥さま「まあ、うれしい。(おもしろそうだから、ちょっとやらせてみようかしら)」

 つづく。

博士と助手 その4

 

鬼の旦那「とりあえず午前中は仕事しますわ」

鬼の奥さま「がんばってね(私は洗濯をして、その間に掃除して…あっそうか…パソコンの部屋には旦那がいるか…)」 鬼の旦那がふりかえって何か言おうとしました。

(やめろ、俺!頼むから何も言うな)鬼の旦那は心の中で叫びました。鬼の旦那「パソコンの部屋、仕事始める前にちゃちゃっと掃除しちゃうよ。掃除機貸してくれる。(俺のばか、言っちゃたよ)」

鬼の奥さま「悪いわね。でもお願いしちゃおうかしら(うれしいわ。今まで自分から掃除なんてしたことないのに。いつもこうだといいのに)」

 

 鬼の旦那は掃除機のスイッチを入れて博士に話しかけます。

鬼の旦那「博士、このガムは最悪です。」

鬼の博士「どうしてだ。ここまでいい流れできているぞ。その調子でやってくれ。ちなみに次の指令も用意してあるからな」

鬼の旦那「勘弁してください」

 鬼の旦那はインカム越しに博士を呪いました。

博士と助手 その5

 

 そうこうしている間にお昼になりました。

 仕方なく鬼の旦那はスパゲッティを作るためにキッチンに立ちます。 鬼の旦那は突然息がくるしくなったような気持ちになりました。

(どうしていいのかまったくわからん。まず、鍋はどこだ。どんなサイズがいいのだ。麺はどこだ。ソースはどうする。醤油とマヨネーズで俺は十分なのだが、奥さまはそれじゃあだめだろうな…)

 鬼の旦那はぶつぶつ言っておりますと、見かねた奥さまが次々と材料を出してくれました。

鬼の奥さま「はい、道具はこれで、材料はこれ。あとはどぞよろしく。あなたなら出来るわ。(心は休まらないけれど、ちょっとやらせてみよう。だめな旦那は褒めて伸ばせって聞いたことあるわ)」

鬼の旦那「(誰がだめな旦那だ)はい、了解しました。ハニーは座ってテレビでも見ていてくれて大丈夫だから。(何がハニーだ。おかしいことを言うんじゃない。そしてぜんぜん大丈夫ではない)」

 鬼の旦那はなれない手つきで鍋に水を入れます。

博士と助手 その6

 

 鬼の旦那はまな板の上のトマトをじっと眺める。

(トマトの皮はむくのか?ヘタはどうする。トマトの切り方は千切り?いやそんなことはないぞ。なんかゴロッとさせとけばよいのではないか)

 鬼の旦那の独白はつづきました。

 

鬼の奥さま「トマトは適当に切って。挽肉をいためてトマト缶と一緒にして(手つきが怖いわ。まあでも大丈夫でしょう)」

鬼の旦那「まかせといて(まかせられませんよ。助けてください)」

 

 鬼の旦那は大騒ぎしてスパゲティをゆがき、ナポリタンソースを完成させました。

 鬼の旦那は心身ともにぼろぼろになっていました。 

博士と助手 その7

 

 これまでのお話

 (ただいま、博士の発明した心の声が聞こえて、その場のベストの答えを口走るガムを実験中の鬼の旦那)

 スパゲティをぺろりとたいらげました。

鬼の奥さま「おいしかった(晩ご飯もこの調子でつくってくれないかしら)」

鬼の旦那「晩ご飯は何を作れば良い?(うそでしょ。いやだよ。無理だよ)」

鬼の奥さま「あら、うれしい。じゃあ、水炊きでおねがいします(どうしたのかしら。隠し事でもあるのかしら。でもまあ、いいことだと思いましょう)」

鬼の旦那「水炊きだね。オッケー(隠し事なんか無いよ。無いことは無いけど。むにゃむにゃ)」

 鬼の旦那のインカムに博士の声が聞こえてきました。

(夕ご飯を作る時に、右ポケットに入っている粉を入れるように……)

 博士から謎の指令が入った。

 鬼の旦那は心の中でため息をついた。

博士と助手 その8

 

 あっという間に夕ご飯の時間になりました。

(夕ご飯を作る時に、右ポケットに入っている粉を入れるように……) 博士からの指令を思い出して鬼の旦那はポケットを確認します。

 確かに銀色の分包がありました。

 博士はいつの間に入れたのだろう。

 鬼の旦那は指示通り、水炊きの鍋に入れました。

 

鬼の奥さま「おいしかった(本当に今日はどうしたのかしら)」 

鬼の旦那「ありがとう(どうしたのかしらじゃないのよ。こっちはやらされただけだから)」

鬼の奥さま「洗い物は私がやるわ(やらされただけってどういうこと!あなたがやるって言ったからやってもらっただけじゃない!)」

鬼の旦那「僕がやるよ。お姫様は座っていて(相手の考えが分かって、その場で最適な返答をするって……さっき入れた博士の粉末はまさか……)」

鬼の奥さま「まあうれしい。(博士の粉末って何よ。それよりも話を戻すわ。あなたがやるって言うからやってもらっただけで、そんなことならやってもらわなくてもよかった)」

鬼の旦那「まずはコーヒーを入れるよハニー(まずい、これはまずいぞ…)」

鬼の奥さま「お願いね旦那様(まずいって何よ!)」

 

 博士の発明品を二人は同時に摂取したようです。

博士と助手 その9

 

 鬼の旦那は、コーヒーメーカーのアルコールランプに火を灯しながら考える。

(妻よ、現在、自分が考えていることが相手に筒抜けになっていることは理解できるだろうか?)

 鬼の旦那は奥さまをちらりと見た。 奥さまは小さくうなずいた。

 鬼の旦那はさらに考える。

(悪態もつきましたが、逆に本心ではないということも理解されたし)

 鬼の奥さまは首を縦にふりました。(よかった。ここからが重要だが、サトリという妖怪の話を君は知っているかい?)

(知っているわ)

 奥さまの思考が旦那に聞こえてきました。

(現状を打破するために、ここで一度なにも考えないというのも手かもしれません)

(そうかもしれませんね)

(では、そうしましょう)

(そうしましょう)

 二人の瞑想時間が始まりました。

助手と博士 おしまい

 

 鬼の夫婦の間に沈黙がおとずれました。

 博士の発明品、現状で最良のコメントを発する効果も沈黙がよしと判断したようです。

 研究所にいる博士は、先日密かに隠したカメラからの映像を見ていました。

博士「夫婦喧嘩を楽しみに待っていたのだがつまらないな」

 博士はそうつぶやいてマイクに手を伸ばしました。

博士「助手よ、聞こえておろう。先日買ったカメラの調子はどんなもんじゃ」

 鬼の旦那は耳を疑いました。

 奥さまには内緒で買ったカメラだったからです。

(無心だ、無心……)

鬼の奥さま「(それは本当のことですか)」

鬼の旦那「コーヒーができたよハニー(うそですよ、博士が面白がって言っているだけだよ)」

鬼の奥さま「ありがとう(きー)」

 

 博士はモニターを見ながら満足げに座り直す。

 博士は二人の静かなケンカを再び楽しげに見物し始めた。 

 

 おしまい

「マイタウン奈良」にて「おにみみコーラ」が紹介されました。

ジョージの受難(その1)

 

 今日のミッションもイージーなはずだった。

 漆黒の闇の中、ジョージは自分がどこに向かって飛んでいるのかも分からない状況のなかで考えていた。

 まさか命綱が切れてしまうなんて思いもしなかった。

 ジョージ達の居住する宇宙ステーションの外装にちょっとした警告を見つけたのが事の発端だった。

 電気的な故障なのか、はたまた小さな宇宙ゴミが当たったのか。

 目視で点検に行く指令がジョージに下った。

 建造当時は最新のテクノロジーだった夢の宇宙ステーションも、今となってはロートルになった。

 何が起こってもおかしくない。

 ジョージは宇宙服に身を包み、船外活動用のバックパックを背負ってた。

 背負ったバックパックは、エアー噴射により自分の行きたい方向に移動できる仕様になっている。

ジョージの受難 その2

 

 ジョージは自分がどれくらい気を失ったのか分からなくなっていた。 気を失う直前にみた宇宙ステーションの外壁が吹き飛ぶ映像が悪夢のようにジョージの脳内を去来した。 あの規模の爆発ではステーションはだでは済まないはずだ。

 命綱も吹き飛ばされて、自分は無限の宇宙に放り出された。

 見回しても目印らしいものは目に入らない。

 ジョージは自分の呼吸の音しか聞こえない中、冷静に状況を確かめる。 宇宙服の損傷は幸運にも無さそうだった。

 酸素残量は約三時間。

 自分の命の残り時間と同じ。

 バックパックはひどく損傷受けた。

 かろうじて一回だけ、姿勢制御ができるエネルギーが残っているようだった。

 今すぐにもステーションに戻る方向に噴射する必要があった。

 ジョージは足下にちらりと見えた青い星、地球から位置を想像して最後の一回の噴射をこころみた。

ジョージの受難 その3

 

「まて」

 外部からの通信だった。

ジョージ「だれだ。俺の位置が分かるのか」

謎の声「分かる」

ジョージ「あんたがだれでもいい。逆噴射する方向の指示をくれ」

謎の声「指示はできる。だがそれ以上のこともできる。あなたの多大なる犠牲と引き替えだが」

ジョージ「それ以上とは…」

謎の声「宇宙ステージョンの状況は気になるだろう」

ジョージ「ひどいのか」

謎の声「このままだとひどいことになる」

ジョージ「あんた、どうにかできるのか」

謎の声「できる。さきほどの条件でな」

ジョージ「どうせ酸素はつきる。俺の犠牲なんて同じ事だ。たのむ。助けてくれ」

謎の声「わかった」

 直後、ジョージの額に激痛がはしった。

ジョージの受難 その4

 

 ジョージは気を失った。

 意識の無いはずのジョージが行った正確無比な逆噴射は、宇宙ステーションへの奇跡の帰還を成功させた。

 しかし、ジョージの帰還を喜ぶ歓喜の無線はない。

 そのことがおかしいとも思っていないように周囲を見渡す。

 宇宙服の中のジョージは、ジョージではなくなっていた。

 ジョージはいつの間にか鬼の旦那に変化していた。

 ジョージに求めた犠牲とは、このことなのか…。

 鬼の旦那の目の前に展開する光景は奇妙だった。

 まるで時間が止まっているかのようだった。

 閃光をあげて、外壁が吹き飛ぶ瞬間のまま世界は止まっている。

 鬼の旦那は時間を停止させた。  これから、鬼の旦那一人で、宇宙ステーションを直すのだ。

 鬼の旦那は、ぽっかりと開いた穴をふさぐ作業にとりかかった。

 

ジョージの受難 その5

 

 鬼の旦那は手始めに爆発の鎮火にあたった。

 息を吹きかける。

 火は一瞬で消えた。

 火が消えた壁の穴から室内が見える。

 今にも吸い出される直前のクルー達が宙に浮いたまま停止している。

 鬼の旦那は時間を止めている効果を確認してにやりと笑う。

 鬼の旦那は懐からひもをとりだした。

 宙に浮いている人々の手と手を結ぶ。

 結び終えた旦那はひもをひいて一気にクルーを安全な空間に引っ張っていく。

 外壁にはぽっかりと穴がのこる。 鬼の旦那は吹き飛ばされた外壁の部材を手に取る。

 穴にあてがう。

 なんということだろう。

 鬼の旦那の目からビームが飛び出す。

 鬼の旦那は外壁の修理を開始した。

ジョージの受難 その6

 

 鬼の旦那は穴をふさぐ作業だけで半年の時間をついやした。

 補修しようにも部材がみあたらなかったために時間がかかったのだ。

 鬼の旦那はしかたなく、比較的影響が少なそうな部品を解体するしかなかった。

 壁の補修が終了したあと、鬼の旦那は電気配線をたどりはじめる。

 断線箇所を見つけると、つなぎ直しはじめた。

 鬼の旦那はとくに建築の知識がある訳ではなかった。

 自分しか助けることができないという思いだけで行動していた。

 たった一人だけの作業。

 観客はたくさん。

 彼らには鬼の旦那の行動は見えてはいない。

 ただ時が再び動き出す瞬間をただ待っている。

ジョージの受難 その7

 

 鬼の旦那は来る日も来る日も配線、配管、外壁の気密の担保と戦っていた。

 宇宙ステーション「ミライ」には現在三千人弱の人間が活動している。 三千人の人命は鬼の旦那の行動ひとつにゆだねられている。

(おれ一人で修理を完了することは可能なのだろうか…)

 さすがの旦那にも一抹の不安がぬぐいきれずにいた。

 そのとき、鬼の旦那は背後で何かが動く気配がしたような気がしてあわてて振り返った。

 しかしそこにはただ静寂の空間があるだけだった。

(気のせいだろう。なんたって今は時間を止めている。ジョージの体を借りて活動している俺だけしか動けるものは存在しない)

「もう、そろそろ限界だろう」

 突然背後から話しかけられた鬼の旦那は声を上げて飛び上がる。

「誰だ!」

 振り返った旦那が見たものは…  

ジョージの受難 その8

 

「誰だ!」

 鬼の旦那が振り返る。

 そこにいたのは鬼の旦那。

 しかも七人。

 鬼の旦那は七人の自分を見て、やはりそうなったかと思った。

 ジョージには最初から代償がともなうと言った。

鬼の旦那1「やはり来てくれたか」

鬼の旦那2~7「考えることは同じだ」

 旦那は事故が起こった直後に行動を起こしたが、時間のばらつきがあった。

 結果、七人の旦那がジョージの体を借りてここにやってくることになった。

 旦那達は思い思いに現状を確認する。

「では、手分けして作業を始めましょう」

 旦那達八人は立ち上がった。 

ジョージの受難 その9 (おしまい)

 

 八人の鬼の旦那達はとうとう修理をやりとげた。

 旦那達が時を止めて修理を行わなければ、宇宙ステーション「ミライ」は大爆発により星屑となっていたのは間違いない。

鬼の旦那1「やったな」

鬼の旦那2「ああ」

おにの旦那1「君たちがいなければ一人では到底できない作業だった」

鬼の旦那2~8「よかったよかった。ところでそろそろあれだな」

鬼の旦那1「ジョージだろ」

鬼の旦那3「そうだ。ジョージを元に戻して俺たちも自分たちの世界に帰らなければならない」

鬼の旦那4「止めていた時間を再び動かそう」

鬼の旦那5「ジョージはびっくりするだろうな」

鬼の旦那6「そうだな。でも命あってのものだねだろう?」

鬼の旦那7「きっとすぐになれるよ」

 

 旦那達は軽く手をあげてさよならをした。

 

 止まっていた時間が動く。

 

 ジョージは外にいたはずなのに、船内にいる自分にまずびっくりした。

 そして周囲の人々に気付いて、声をなくした。

 たくさんジョージがいる。

 全員で8人のジョージが部屋の中にいた。

ジョージ1「どういうことだ」

ジョージ2「わからない。でもあの時の声の主が俺たちを助けたということだろう」

ジョージ3「見ろ、壁に補修の跡が無数にある」

ジョージ4「まさか、船体も修理したのか」

ジョージ5「どうやって?」

ジョージ6「わからない」

ジョージ7「まあ、いいじゃないか」

ジョージ8「乗組員全員の命が助かったのは事実だ」

ジョージ1~8「そうだな、まあ、いいか」

 

 ジョージ達は握手をして、とりあえず喜ぶことにした。

タヌキと鬼の旦那 その1

 

トントン

鬼の旦那が玄関の戸をあけるとそこにいたのはタヌキ。

タヌキ「こんばんわ。わたしは昼間、悪ガキから助けていただいたタヌキです」

鬼の旦那「ああ、君か。大丈夫だったかい」

タヌキ「はいおかげさまで。親にいいましたら、それは恩返ししなくちゃならねえって言われました。なにか恩返しさせてくださいよ」

鬼の旦那「恩返しはいいよ、気持ちだけいただくよ」

タヌキ「そういうわけにはまいりません」

鬼の旦那「そうかい。じゃあこうしようか、俺に化けてくれるか?」

タヌキ「旦那にですか?おやすいごようです」

鬼の旦那「そうかい。じゃあ、あしたはおいら休みだから俺のかわりに家にいてくれ」

タヌキ「わかりました」

タヌキと鬼の旦那 その2

 

次の日の早朝。

 鬼の旦那はタヌキと入れ替わって、こっそりとでかけました。

 タヌキは葉っぱを頭にのせてくるりとトンボを切りました。

 小さな煙と共に現れたのはどこから見ても鬼の旦那。

タヌキ「せっかく鬼の旦那に化けたのだから、鬼の休日を満喫させてもらうとしよう」

 タヌキは家に入っていきます。

鬼の奥様「あらおはよう。休みなのに早いのね」

 奥様が台所でコーヒーをいれていました。

タヌキ「僕ももらおうか」

奥様「僕?自分の事をいつから僕って呼ぶようになったの?」

タヌキ「うん、インテリジェンスな気分があふれている今日この頃なのさ」

奥様「へんなの。はいどうぞ」

 鬼の奥様がブラックコーヒーをテーブルにおいた。

 タヌキは初めて見る真っ黒な飲み物に興味津々な面持ちで眺める。

 カップに口をつけた。

タヌキ「にがい」

タヌキはしかめっ面。

奥様「なんか変ね。わたしになにか隠し事でもあるの?」

タヌキはぎくりと首をすくめました。 

タヌキと鬼の旦那 その3

 

鬼の奥様「朝ご飯できてるわよ。わたし、洗濯物を干してくるから」

 奥様は台所からでていきました。

 鬼の旦那に化けたタヌキはテーブルの上の目玉焼きとトーストをものめずらしげに眺めた後、トーストにかぶりつきます。

鬼の旦那(タヌキ)「うまい」

 鬼の奥様がキョロキョロしながら

帰ってきました。

旦那「何をキョロキョロしているの」

奥様「なんでもない。それより、それおいしい?」

旦那「うん、おいらこんなにおいしいもの食べたこと無いよ。これはなんていうたべものだい?」

奥様「うーん、何て言ったかな。しかくふかふかに、きいろまんまる」

旦那「へえ、おもしろい名前だね。しかくふかふかに、きいろまんまるか」

奥様「そう。わたしも初めて食べるから、どんなお味?」

 そう言って、奥様はおそるおそる黄身を食べました。

奥様「うんまい!」

旦那「うまいよね!」

 なんだか二人の様子はおかしなかんじになっています。

タヌキと鬼の旦那 その4

 

鬼の奥様「ねえ、掃除機を使って掃除をしたいんだけど、掃除機ってどれだっけ?」

鬼の旦那(タヌキ)「掃除機かい?掃除機はね~これ」

 (いつも奥様はどうやって掃除しているのかな?)とも思いましたが、旦那に化けたタヌキは正体がばれないよう即座に、そして適当に指さしました。

鬼の奥様「ずいぶん変わった形ね。これでどうやって掃除するの」

鬼の旦那(タヌキ)「(人間は機械からでている紐を壁に差して使っていたような気がする)まずこれを壁の穴に差すでしょう」

鬼の奥様「ほうほう」

鬼の旦那(タヌキ)「ほらぴったり。そしたら機械のでっぱりを押す。さすれば…」

 鬼の旦那(タヌキ)がボタンを押すと、銃のような形状をした丸い先端が猛烈ないきおいで前後に振動を始める。

 びっくりした鬼の旦那(タヌキ)は床に機械を落としました。

 床の上でも振動を続ける機械に鬼の旦那も鬼の奥様も恐怖を感じました。

鬼の奥様「きゃー!」

鬼の旦那(タヌキ)「わー!」

 鬼の旦那(タヌキ)はコンセントからコードを引っこ抜きました。

 激しく床の上で動いていたマッサージ機は何事もなかったかのように動きを停止しました。

鬼の旦那(タヌキ)「これはちがいました」

鬼の奥様「どうもそのようね」

タヌキと鬼の旦那 その5

 

 時を戻そう。

 鬼の奥様が旦那にブラックコーヒーを出した後、洗濯物を干しに部屋から退室した時。

鬼の奥様「本当に私、出かけてもいいの?」

タヌキ姉さん「はい、まかせてください。悪ガキから助けてもらった恩返しです」

鬼の奥様「今日は鬼の旦那もお休みだから旦那は一日家にいるの。大丈夫?」

タヌキ姉さん「おちゃのこサイサイです」

 そういうとタヌキ姉さんは葉っぱを頭にのせてくるりと宙返り。

 けむりの中から鬼の奥様があらわれました。

 

 ということで、今、キッチンには鬼の旦那に化けたタヌキと、鬼の奥様に化けたタヌキ姉さんがいます。

 二匹は、相手に正体がばれる、ばれないはどこへやら、自由に人間のくらしを満喫しだします。

鬼の奥様(タヌキ姉さん)「お湯が出てくるわよ。これお風呂じゃない」

鬼の旦那(タヌキ)「きっとそうだよ。僕おふろに入っちゃおうかな」

鬼の奥様(タヌキ)「私は動く紙芝居を見てくるわ」

タヌキと鬼の旦那 その6

 

 その頃、本物の鬼の旦那は、野鳥を撮影しようと、ほくほく顔で街を歩いていた。

(俺に化けたタヌキは奥様にばれずに俺を演じているかな?)

曲がり角を曲がった時、ばったりと鬼の奥様と出会いました。

鬼の旦那「おお!」

鬼の奥様「わあ!」

鬼の旦那「おおっと、どこかにいくの?」

 鬼の旦那はあわてて取り繕います。鬼の奥様「ううん、ちょっとお散歩。あなたこそ、どこに行くの」

 奥様も思わず口ごもります。

鬼の旦那「ううん、ちょっとね。家の俺と会った?」

鬼の奥様「家の俺?」

鬼の旦那「いやいや、何でも無い。タヌキはどうなってるのかな」

鬼の奥様「タヌキ?」

鬼の旦那「いやいやいや…」

 まさか、この人にも別のタヌキがやって来ているのでは……。

 鬼の奥様はピンときました。

 鬼の奥様は、旦那を少し困らせてみようと思いました。

タヌキと鬼の旦那(その7)

 

 奥様は旦那に罠をしかけてみようと思いました。

 鬼の奥様はタヌキのふりをします。

鬼の奥様「だんな、わたしはタヌキですよ」

鬼の旦那「えっ!お前タヌキかい?」

鬼の奥様「はいそうですよ」

鬼の旦那「なんで奥様に化けているんだ」

鬼の奥様「それは、鬼の奥様にお買い物を頼まれたのです。旦那の格好のまま外に出たら、本物の旦那と鉢合わせしたらいけないと思いまして、家の外にでたあと、奥様に化け直したのです」

鬼の旦那「そうなんだ」

 鬼の奥様は面白くなってきて、吹き出しそうになるのを必死でこらえました。

鬼の奥様「そういえば、奥様こんなこと言ってましたよ」

鬼の旦那「何て言ってたんだい?」

鬼の奥様「何か私に隠し事してないかって言ってました」

鬼の旦那の顔色がみるみる青くなっていきます。

タヌキと鬼の旦那(その8)

 

鬼の旦那「あれかな~」

 目の前に立つ鬼の奥様はタヌキと勘違いしている鬼の旦那が口を開きました。

鬼の奥様「どれ?」

鬼の旦那「だまってカメラのレンズを買い足したこと」

(まあ、だまって買ったのね)鬼の奥様は血圧が上がるのを自分をなんとか抑えます。

鬼の奥様「それじゃあ無いみたいです」

鬼の旦那「じゃあ、あれかな。掃除を頼まれて、テーブルの位置だけを動かして掃除しましたって言ったこと」

鬼の奥様「そんなことじゃあないみたいですよ」

鬼の旦那「じゃあ、あれかな。仕事と言って出かけたけど、本当は遊びにいったことかな」

 鬼の奥様はにぎった拳がわなわなと震えだしました。

タヌキと鬼の旦那(おしまい)

 

鬼の奥様「あーもう」

 鬼の奥様は思わず鬼の旦那の首にヘッドロックをかけました。

鬼の旦那「わー血迷ったかタヌキよ」

鬼の奥様「私はタヌキじゃ無くて、本物の奥様よ!」

鬼の旦那「うそ」

鬼の奥様「うそじゃありません。しかも家にもう一匹、メスのタヌキがきたのよ。そんなことよりさっきから何をつらつら言っていたの」

鬼の旦那「ぎくり」

鬼の奥様「ぎくりじゃあ無いのよ。今日は何を食べさせてもらいましょうかね」

鬼の旦那「といいますと?」

鬼の奥様「無駄使いするお金があるのでしょうから、今日は私を接待してもらいます。いいですね?返事は!」

鬼の旦那「はい!」

鬼の奥様「よろしい。ではまいりましょうか旦那さま。まずは、映えるで有名なパフェをいただきましょう」

 

 そのころ、鬼の夫婦のお家ではすっかりくつろいだタヌキたちがお酒を飲んで眠っていました。

 

おしまい

「おにみみコーラ」プレゼンツ

 

はじめてのおつかい

(目玉焼き編)

 

 

作者 子鬼

 鬼には苦手なものがあると言われています。

 イワシを焼くときに発生する大量の煙などを、鬼は嫌うとされている。

 玄関先に飾ったヒイラギとイワシで鬼を撃退する風習があり、この魔除けの風習を、柊鰯(ひいらぎいわし)というそうです。

 

 鬼の旦那はぜんぜん平気。

 イワシで一杯「おにみみコーラ」

鬼の旦那のおもいつき

歴史に介入するシリーズ

 

夜な夜なついたてから飛び出すトラを成敗しろという問題を解決する一休さん。

「では絵の虎をついたてからおいだしてください」

の場面で虎を登場させる鬼の旦那。

 

その時、歴史が動いた!

 

 

本日の鬼ことば

缶バッチ付 鬼ことば 

鬼の角に見立てた三角おみくじです。


鬼の思いをこめた渾身の言葉でほめてくれます。
ぜひ!

#おにみみコーラ

どぞよろしく。

どぞ、よろしく今年の秋味。

10月23日(土曜日)私、おに社長は新橋にございます「奈良まほろば館」の店頭に立ちます。
ぜひ!

10月23日(土) 奈良まほろば館にて、 おに社長が、 がんばって 「おにみみコーラ」を販売いたします。

ぜひ!

10月23日(土)
奈良まほろば館にて「おに社長」はこんなことを予定しております。
ぜひ!

鬼の旦那 もしもシリーズ

 

もしも鬼の旦那が車掌さんだったら…

 

「次の停車駅は…」からはじまる車内アナウンス。

(1)母国語

(2)英語

(3)中国語

ときて

(4)存在しない言語をぶっこんでくる、鬼の車掌ギャグ。

おにの旦那、あがったときのあまり有効ではない対処法シリーズ

 

・バラ

・レモン

・ちみもうりょう

と手のひらに漢字で3回描く。

 

鬼の旦那、もしもシリーズ

 

もしも学校の先生が全員、校長先生だったら…

朝礼が終わらない。

 

 

 

「奈良まほろば館」では柿の葉寿司も飛ぶように売れておりました。

 思わずお客さんに声をかけてしまいました。

「私、奈良県民なのですが、柿の葉寿司は食卓によくあがるのです。なんでですかね?」

となぞの禅問答をしてしまいました。

 

本日の想像シリーズ

 

「ジョジョ立ち」ってどんなんやったかな~って想像する。

 むかし、むかしあるところに、いい鬼の旦那が住んでおった。

 鬼の旦那は働き者だったが、暮らしは裕福ではなかった。

 鬼の旦那はそれでもしあわせだった。

 

 だれが作ったのか鬼の旦那は知らないが村には守り神の巨大石仏があった。

 畑に行くときにはいつも鬼の旦那は石仏の足下にお供えをしていた。

「いつも見守ってくれてありがとう」

 

 そんなある日、村をかつてない台風が襲った。

 川が決壊する。

 鬼の旦那はわらにもすがる思いで雨の中飛び出し、石仏にむかいました。

「石仏さま、なんとかしてください」

 どこからともなく鬼の旦那の耳に声が聞こえました。

「ダームー」

 鬼の旦那はびっくりして石仏を見上げました。

 なんと石仏が動いているではありませんか。

 石仏は低くかがんだ後、川の上流めがけて山の方に飛んでいきました。

 石仏はごろんと横になり川をせき止めました。

 村は救われました。

 こうして水をためる巨大建造物の名前は「ダム」と呼ばれるようになりました。(ウソ)

本日のおにことば。

いい鬼の夫婦の日常風景シリーズ

 

夕食後、誰が食器を洗うのか?

 

決して交わらない視線。

本日のおにことば

 

あしたもハッピー

おにハッピー